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高齢者の生活を調査した「2240歳スタイル」で思ったこと

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2016年3月9日、高齢者の生活を展示した「2240歳スタイル~時間を味方にする人生の先輩たち~」のため、秋田県立美術館へ行ってきました。

秋田市の主催で、市内の66歳から88歳までの高齢者29人から時間をかけて聞き取り調査をした結果の展示。対象者の年齢を合計すると2240歳なのだそうです。

その膨大な調査を手がけたのがコミュニティデザインで有名な studio-L さんということで、現地まで展示を見に行きたかったのです。現地まで行ってみての感想は、やはり行ってよかったということ。

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ひとりひとりの調査結果をパネルにした展示

セグメントだけでは見えてこない先輩方の個性

そこには「お年寄り」「老人」というセグメントだけでは見えてこない、人生の先輩方ひとりひとりの個性がありました。どんなふうに暮らし、生きてきたのか。誰と関わって何を頼りにしているのか。たくさんの知恵と工夫がある一方で、一見不合理に見えるような習慣があったり。

展示会場には、先輩のひとりがいつも暮らしている6畳間をそのまま再現したブースもありました。この部屋の主がいつもどこに座って、ちゃぶ台の上のものにどんなふうに手を伸ばしているかまでわかります。

6畳間の再現展示
再現された6畳間のリアルな生活感

冷蔵庫の中身をパネルで表現した模型もありました。どんな食品を常備しているのか、貴重品や医薬品の管理にも冷蔵庫を利用している様子が伺えます。先輩方の生活に深く入り込まなければ見えてこないはずの領域は「その発想はなかった」の連続でした。

冷蔵庫内の再現展示
緊急時の医療キットも冷蔵庫で管理

毎日の買物の様子もスーパーの買物かごを模して視覚化。先輩方もけっこうお酒を飲むのだなぁという当たり前の気付きがあります。かわいらしいおばあちゃまが焼酎のボトルを買っていたりして。秋田という土地柄から、ハタハタを購入している人が多かったのも印象的でした。

買物かごの再現展示
たくさん置かれていた買物かごのうちのひとつ

超高齢化社会に対する無自覚

先輩方=高齢者の暮らしにほんの少し触れて思ったことは、私たちは無意識のうちに、自分たちが作るものの対象を若者だけに限定してデザインしているのではないか、ということです。

高齢者に対応すべきと考えているのは一部の福祉系サービスや医療系サービスだけで、エンターテイメントや実用系では最初から対象として見ていないのではないでしょうか。それも本当に無自覚に。

もしかして、日々デザインや開発の現場にいる私たちにとって、超高齢化社会の自覚はしづらいものなのかもしれません。頭ではわかっていても、なんとなく実感がない。なぜか自分たちのデザインは現役と呼ばれる世代にだけ届けるものであるような錯覚がある。そんな現状があるような気がするのです。

社会問題とも言われている超高齢化社会の中で、インターネット世代の高齢化も進みます。今後はもっと先輩方向けのサービスやデザインが増えてくるでしょう。そしてそう遠からず、今は現役世代の私たちも先輩方のいるところにたどり着くのです。

私たちは「いつか」ではなく、今の社会に目を向けてデザインをする必要があると感じます。そのためのヒントが、「2240歳スタイル」には詰まっていました。

図録もいただいてきましたので、折りに触れじっくり見返しながら、社会にとって必要なデザインについて考えていきたいと思います。

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