デザインのための「想像」を「妄想」にとどめないために


デザインするには想像は必須であると思います。
「想像」にもいろいろありますが完成図、理想形を想像することで、プロダクトのデザインのゴールに向かって進めていきます。

UIデザインでは、ビジネスとデザイン設計のための概念のモデル化、モデル化したものを共通言語として実際に触ることのできるUIデザインにビジュアライズすることを行います。
モデル化する際、ヒアリングや資料のインプットを参考にしながら、プロダクトのことを考えます。プロダクトの利用シーンやユースケースを思い浮かべる、想像して、モデル化を進めていきます。

「想像」と「妄想」

プロダクトを利用しているかたちを考えるとなれば、まず、自分はどうアクションをするかを想像するでしょう。
たとえばECサイトをについて考えるのであれば、今まで自分が利用したことのあるECサイトでどのように使ったかを思い出します。それらを参考に、ビジネスのための要件や背景のインプットを足して、さらにユーザーの利用イメージを深めます。
ここまでだと、「想像」は「妄想」レベルとあまり変らないと言えます。もうひとつ踏み込まないと、デザインに必要なイメージとして満たないものになります。

「妄想」と「想像」には意味に違いがあります。それは根拠がないことです。
辞書での意味で「妄想」には「正しくない」という意味も含まれますが、この場合は 正しい/正しくない ではなく、そのイメージによりどころとなる確固たる理由のないことが違いとしたいと思います。

「妄想」から抜け出すには、きちんと理由をもって設計する必要があるということです。
モデル化する場合も、モデリングした図だけでは不十分で、「なぜそうなるか」に答えられる根拠を示せることが大事です。図やイメージだけでなく、テキストで示すことができるとよりモデルを強固にできます。図だけではなく、ことばでの説明ができること、言語化もできていることも必要になります。
また、それぞれのモデルの整合性がとれていることも理由の強化になるでしょう。それぞれのイメージが組み合わさって成り立っている状態を目指します。

「思い込み」から抜け出す

もうひとつ「妄想」を抜けるためのデザイナーが気をつけるポイントがあります。
先の例ではECサイトを考える場合を挙げましたが、ECサイトは何かしらの経験でデザイナーも使ったことのあるものです。使ったことがあるものだからといって、それを完全理解したとは言えません。ビジネスのための要件や背景のインプットを参考にしても、デザインの個人の経験に即したものを中心にして、ユーザーに必要なことがわかったように感じてしまうのは危険です。
それは錯覚、思い込みと言えます。

UIデザインにおいては、デザイナーはユーザーよりも「わかっている」側に属します。UIやプロダクトについての知見があるので、一般的なユーザーと比べるとUIに対しての理解が早いし解像度も高いことをわかっておく必要があります。UIデザインを設計する際にUIデザイナーが気をつけなければいけない点です。
デザイナーの「思い込み」から抜け出す打ち手のひとつには、モデル化も役立つはずです。デザイナー自身のバイアスによるユースケースから抜け出すために、客観的なプロダクトの設計を通すことができます。

デザインを進める上で、デザイナー自身の目線だけで語ると「妄想」を超えられません。
ちゃんとデザインのための「想像」とするには、根拠となる検討材料も揃えることが必要です。モデル化を通したプロダクトに対しての深い理解を根拠として、ものづくりを考えます。直感のアイデアでも、その直感を強化する材料がないと、デザインのためのアイデアにならないのです。

「妄想」と「想像」の言葉の違いではありますが、デザインをただのイメージとしないためにちゃんと「想像」しないといけません。「想像」から根拠をちゃんと示せることが、つよいデザインといえるのではないかと思います。

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投稿者 Imanishi Emi

UIデザイングループリード。
制作会社でプロモーションサイトや広告のデザイン制作、受託開発会社にてサービスのUIデザインを経験し、Gaji-Laboに参加。ユーザーが使いやすいインターフェースデザインづくりと、フロントエンドで実現するUIデザインの橋渡しについて考えます。
実際にインターフェースを試したりフィクションの世界のUIにヒントをもらいながら、心地よく使えるデザインを考えるのが好き。