お気に入りの書籍紹介『アート・オブ・プロジェクト・マネジメント』


Gaji-Labo Advent Calendar 2014 15日目担当、原田です。

紹介する書籍は『アート・オブ・プロジェクト・マネジメント マイクロソフトで培われた実践手法』です。

この書籍を手にとったのは、前職でリリースに追われプロジェクト全体が見えなくなり日々の業務に疑問を持ち始めた頃でした。勧めてくれたのは当時の同僚(Microsoftの元エンジニア)です。
「原田くんはプロジェクトマネージャー(注:以降PM)の考える事が分かるようになったらえぇんよ。」という言葉を今も覚えています。

『アート・オブ・プロジェクト・マネジメント』表紙写真
原田のプロジェクトマネジメント一歩目となった書籍

簡単な紹介

著者の Scott Berkun 氏はみんなが大好きな IE や Microsoft Office などの開発に携わった経歴のあるPMです。
製品の評価はどうであれ、超のつく大規模なソフトウェア開発でプロジェクトを率いた経験からは学ぶ物が多々あります。

この本では「ガントチャートはこう引きましょう」「KJ法とはこうやるものです」などの Tips はあまりありません。(多少はありますが。)
徹底的に「プロジェクト」や「プロジェクトマネジメント」と向き合い、分解していくことでその難しさの正体に向き合う構成になっています。

アイデアを得る初期の段階から・計画・製造・テスト・リリース・その間の種々の政治的問題など多岐に渡る内容構成ですが、トピックごとに読み飛ばしても理解しやすい書き方になっています。

とりわけ「9章 コミュニケーションと人間関係」「16章 社内の力関係と政治」を特に興味深く読みました。

9章 コミュニケーションと人間関係

プロジェクトを計画する段階ではついつい無機質にプロジェクトを捉えがちですが、プロジェクト進行をする上では人と人とのコミュニケーションは欠くことができません。
有機的な人の繋がりを活性化しプロジェクトを安定して進める力こそPMにもっとも必要なスキルでしょう。

16章 社内の力関係と政治

プロジェクトを進めるうえで多くの人が嫌う「政治」の必要性を認め、『政治とは汚いことを表す言葉ではない』(P.400)と気づかせてくれたのは私にとって有意義な内容でした。
そして政治を “正しく” 利用することで組織とプロジェクトを円滑に進める方法など普通では経験で得るしかない(人から教えてもらいづらい)と思える内容が展開されています。

キャリアの「次」に迷っている人こそ読んで欲しい

すでにプロジェクトマネジメント業務を行っている人だけでなく、新人からステップアップし次のステージを模索しはじめた人にも読んで欲しい一冊です。

プロジェクトマネジメントをする際に注意すべきことやPMとして取るべきふるまいを知ることで、自身がプロジェクトマネジメントを行わなくともPMと的確に意思の疎通が取れるようになり、プロジェクトのキーパーソン(の一人)になれることでしょう。
そうなれば多くのチャンスが与えられ、自身のキャリアの展望も多岐に広がる可能性があります。(効能を保証するものではありません)

また、プロジェクトマネジメント業務の本質は人と接し・人と働き・人と課題を解決することにあると思っています。
このスキルは業種に縛られるものではありません。(もちろん業種が変われば知るべき事は山ほどありますが。)将来あなたがウェブ以外の仕事に興味を持ったとしても持ち運ぶことができるスキルとなるでしょう。

ぜひこの本をきっかけにプロジェクトマネジメントの世界に触れてみて欲しいです。

業務連絡: Gaji-Labo メンバーは読むとよいです。

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投稿者 Harada Naotaka

受託と事業会社の両方を経験し、沢山の事業を見てみたい気持ちで Gaji-Labo を共同創業。普段は雑用やったりプロジェクトマネジメントやったり、たまにフロントエンドのコードを書いたり。直近は Gaji-Labo をデザイン会社に転換していく課題に挑戦中。期待値コントロールにステ全振り。