デザインのための共感と想像


デザイン思考のステップに「Empathize」「共感」があります。
サービスやプロダクトを使うユーザーに共感することです。
この「共感」には同感や理解も含まれると思います。わたしは、ユーザーの立場で物事を捉えて理解することと考えています。

もとのデザイン思考の「Empathize」のワードに注目すると、この言葉の意味は to be able to understand how someone else feels (EMPATHIZE | 意味, Cambridge 英語辞書 )とあります。他人がどのように感じているかを理解できる ということですね。文字通りフィーリング、感情がわかることにフォーカスした感じがあります。
また「Empathize」のもとの名詞の「empathy」はより細かな意味が定義されていて、 the ability to share someone else's feelings or experiences by imagining what it would be like to be in that person's situation ( EMPATHY | 意味, Cambridge 英語辞書 )とあります。訳すと 他人の誰かの立場にたった場合にどうなるかを想像することにより、その人の感情や経験を共有する能力 です。
デザイン思考の「Empathize」フェーズでやることは、名詞の方の定義にある「他人の誰かの立場にたった場合にどうなるかを想像することにより、その人の感情や経験を共有する」こと重要なことと言えます。

また、私個人は「共感」という言葉は生っぽい言葉だと思っています。これは「Empathize」の言葉の翻訳によることかもしれません。似たような意味の「同情」や「同調」は同化感が強いし「共鳴」はちょっとスピリチュアルでよりウェットな感触もあるので、この辺のワードなのかなと思います。

共感のなかの想像、理解から想像へ

さて、この共感にある想像とはなんでしょうか。
ただユーザーの立場として、なにかを思い描くことはできるでしょう。しかし無尽蔵な想像だけではデザインのための共感ができたとは言えません。
デザインを目的にした共感は、課題の文脈とユーザーを理解することが必須です。課題の文脈を無視しては達成できません。

Gaji-Labo式のデザイン思考では、「共感」フェーズではなく「理解」フェーズから始めます。
サービスやプロダクトにまつわることや課題を理解し、インプットする。関わるメンバーの知見が薄いこともあるので、ドメイン理解とそのためのインプットをしっかり行います。

私は「想像」とは「理解」の先にあるものだと考えています。
何もないところから想像はできません。デザインではユーザーの立場や状況などプロダクトとユーザーの取り巻く環境をまるっと理解して、そこから始めます。
まるっと理解することも難しくて、そこに思い込みや個人のバイアスはかからないように、情報をあるがままで受け止める感じが近いと思います。その点では「理解」にもベースには「共感」がいるのかもしれません。

「想像」の他人の誰かの立場にたった場合にどうなるかを想像することについても、ユーザーの立場を理解できれば考えられるとは限りません。ここが難しい。
ドメイン理解以外の、ユーザー・ヒトの行動や体験のパターンやデジタルプロダクトではアプリケーションのデザインパターンの知識があると想像の解像度を上げることができます。プロダクトをとりまくドメイン理解と行動や体験のパターンを組み合わせることがデザイナーが行う「想像」に含まれて欲しいことだと思います。

理解なしに想像はなく、理解なしに共感もないでしょう。
結局は日々の情報収集なのか、というと、そうだと思います。多面的にいろいろなものごとを知るなんて脳の容量も時間も足りない!という気がしますが、どこかで知った何かが別のタイミングで役に立つこともあるかもしれないので、自分の知見を信じて日々学んでいきたいなと思います。

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投稿者 Imanishi Emi

UIデザイングループリード。
制作会社でプロモーションサイトや広告のデザイン制作、受託開発会社にてサービスのUIデザインを経験し、Gaji-Laboに参加。ユーザーが使いやすいインターフェースデザインづくりと、フロントエンドで実現するUIデザインの橋渡しについて考えます。
実際にインターフェースを試したりフィクションの世界のUIにヒントをもらいながら、心地よく使えるデザインを考えるのが好き。