クライアントと対話をして得た体験・知見、ヘッドレス CMS 導入の成功を左右する実装前に知っておくべき非エンジニア視点
こんにちは、たにもとです。
Gaji-Labo は、さまざまなチームの一員として参画するプロダクトチーム支援をしています。
最近、参画しているあるチームでヘッドレス CMS 導入プロジェクトを担当する機会がありました。
技術的な実装は順調でしたが、チームメンバーとの対話を重ねる中で「技術だけでは解決できない課題」が見えてきました。
この記事では、実際のチーム内のコミュニケーションで学んだ知見を共有します。
対話から見えた非エンジニアが直面する管理画面の「壁」
専門用語が多すぎると、理解し操作するのに時間がかかってしまう可能性があると相談を受けました。しかし、どこからが専門用語なのかの判断は難しいです。
今回出た具体的な事例は「スラッグ」「メタディスクリプション」「alt(画像の代替テキスト)」です。
導入後に利用する担当者には「CMSを初めて触る人もいる」「HTML について全く知識がない」ことが考えられ用語の選び方が大きな壁になる可能性があります。
なぜ非エンジニア視点が重要なのか?
ヘッドレス CMS の実運用は、マーケティング担当者など非エンジニアが行うことがほとんどです。
複雑な入力形式や専門用語が使われるインターフェースでは直感的に操作できず、結果として記事の編集や新規投稿時の負担になります。
「理解できない・難しい」という状況は、単なる慣れの問題に留まりません。
初期負荷が高いと、新しい担当者が加えにくくなり、外部への依頼のボトルネックとなります。
技術的な完璧さよりも、運用する人の立場に立った設計が、コンテンツ管理の効率化や平準化を実現するためのポイントだと考えるからです。
非エンジニア視点を持つための対策
エンジニアが非エンジニアの視点を持って開発することは難しいです。
なので、定期的に細かいフィードバックをもらう機会を設けることが大切です。
実際に記事を投稿する場合のワークフローを作成し、記事を投稿するまでの一連の作業を行ってもらいます。
そのときのフィードバックから「専門用語の言い換え」「入力方式の変更」「プレイスホルダーの設定や補足テキストの記述」など具体的な修正アクションを担当者に提示してすり合わせます。
このとき可能であれば、複数の担当者にフィードバックをもらうことが望ましいです。
開発者がヘッドレス CMS 導入を成功させるためにやるべきこと
実装のトレードオフを担当者に伝える
担当者の要望に応えるあまり、入力項目を増やしたり、テキスト入力フィールドの汎用性を高めたりすることがあります。
しかし、この柔軟性は、品質のばらつきというリスクをはらんでいます。
例えば、多機能なテキスト入力フィールドは「書きやすさ」を向上させますが、記事の品質やスタイルが担当者のスキルに依存してしまいます。
結果として、運用側で詳細なリファレンス管理が必要になったり、将来的にルールを無視した記事が散見されるようになったりする可能性があります。
一方、入力できる値を絞ったフィールドを複数作成することで、フォーマットが統一され、誰が入力しても一定の記事品質を担保できます。
「書きやすさ」か「品質担保」か。このトレードオフを理解し、将来的な改修コストを避けるためにも、実装前に依頼者としっかりすり合わせることがエンジニアの責任です。
汎用性とUI / UX のバランス
適切な汎用性がないと、サービスの成長に合わせた拡張が難しくなります。
しかし、汎用性を高めすぎると、実装が複雑になり開発コストが増大するだけでなく、UIも複雑になりがちです。
これにより、運用する非エンジニアが直感的に使えなくなり、本来の目的であった効率的なコンテンツ投稿が妨げられます。
また、ヘッドレス CMS の思想から外れたイレギュラーな実装は避けるべきです。
無理な要件を力技で実現すると、アップデート時に動かなくなるリスクが高まり、結果的に保守・運用コストが膨らみます。
依頼者の頭の中にある潜在的なニーズを丁寧に引き出し、「できること」「できないこと」を明確に伝えることが、長期的なプロジェクトの成功には不可欠です。
まとめ
ヘッドレス CMS の導入を成功させるのは難しいです。
ただ、エンジニアとしてできることは要件から様々な角度で検討し、担当者との対話から本当のニーズを引き出していけると良いでしょう。
今回の体験から得た知見は下記の通りです。
- 単なる「ツール」ではなく「運用を支えるパートナー」として考える
- 複数の担当者からフィードバックをもらい、非エンジニアの声を積極的に取り入る
- 実装要件を実現した時のトレードオフを説明する
- 長期的な視点で「できないこと」を伝える
本記事で紹介した課題は、ヘッドレス CMS 導入時に多くの企業が直面するものです。
弊社は、要望に応じて長期的な運用を見据えたアーキテクチャの構築をしていきます。
ヘッドレス CMS 導入でお困りでしたら一度お気軽にご相談ください。
Gaji-Labo は フロントエンドのAI開発の実績と知見があります
急速に進化するAI技術、進まないUIとの統合…。 ユーザー体験を損なわずにAIを導入したいと考えながら、実装や設計に悩み、開発が停滞している。 そんな課題を抱えるプロダクトや開発チームを、私たちは数多く支援してきました。
フロントエンド開発の専門企業である Gaji-Labo は、AIチャットや自然言語処理UIなどの設計・実装において、AIの特性を踏まえた体験設計・UI開発・運用まで、フェーズに応じたサポートが可能です。
Gaji-Labo フロントエンドエンジニア向けご案内資料
Gaji-Labo は新規事業やサービス開発に取り組む、事業会社・スタートアップへの支援を行っています。
弊社では、Next.js を用いた Web アプリケーションのフロントエンド開発をリードするフロントエンドエンジニアを募集しています!さまざまなプロダクトやチームに関わりながら、一緒に成長を体験しませんか?
もちろん、一緒にお仕事をしてくださるパートナーさんも随時募集中です。まずはお気軽に声をかけてください!