2015年最も気になった資料「デザインの裏のデザインの裏のデザイン」


こんにちは、Gaji-Labo コーヒー部長の山岸です。ヴォアラ珈琲があれば、とりあえず平和な社内です。

そしてこの記事は Gaji-Labo Advent Calendar 2015 10日目の記事です。

弊社「Tech Share」を元にメンバー持ち回りで書いているこのシリーズ、Techと言っても技術だけの話をしているわけではありません。普段の山岸のフィールドからメンバーにシェアしていることもたくさんあります。

今日はその中から情報設計にまつわるトピックで、2015年最も気になった資料「デザインの裏のデザインの裏のデザイン」を取り上げてみたいと思います。

デザインの裏のデザインの裏のデザイン

2015年に参加したイベントの中でも印象に残っているのが、7月に立て続けに行なわれた UXSF 2015 SummerIA CAMP 2015 です。どちらもユーザーエクスペリエンスデザインやインフォメーションアーキテクチャについてがテーマのイベントです。

どちらのイベントにもピーター・モービルさん、ダン・クリンさんなど海外スピーカーも登壇されていましたが、今日はそのうちの1人であるジェイソン・ホブスさんの資料を紹介します。

UXSF 2015 Summerの様子
UXSF 2015 Summer パネルディスカッションの様子です

資料は「The design behind the design behind the design」というタイトルで、イ・ソヨンさんによる日本語訳「デザインの裏のデザインの裏のデザイン」も公開されています。(リンク先はどちらもPDFです)

The design behind the design behind the design 表紙
The design behind the design behind the design 表紙です

ハビトゥスの中の情報アーキテクチャ

ホブスさんは資料の中で、人類学的なアプローチからインフォメーション・アーキテクチャを語っています。ちょっと抽象的でわかりづらいところもありますが、私は特に「ハビトゥスの情報アーキテクチャ」というセクションに興味を持っています。

Wikipedia によると「ハビトゥスは人々の日常経験において蓄積されていくが、個人にそれと自覚されない知覚・思考・行為を生み出す性向」とされています。

ホブスさんが示すハビトゥスの中の情報アーキテクチャについて引用します。

ハビトゥスの中の情報アーキテクチャは、

・自己組織システムとして浮上するもの
・知識や話題の範囲に適応するもの
・情報の交換と解釈のための集合を提供する
・時代を超えてアイデンティティを発展させ、恊働や集団学習を円滑にする
・時代を超えて知識体系や関連する知識の蓄積を発達させる
・新しい知識を取り入れるための検証手段を適用する
・コミュニティにとって重要な価値を包含する
・隣接する他の情報アーキテクチャと交差する

そしておそらく最も重要なこととして、ハビトゥスの中の情報アーキテクチャは、揺るぎないものとして定着した場合、現実そのものを示すものになります。

山岸が仕事の中で意識して取り組んでいることは、ハビトゥスの中の情報アーキテクチャとして説明できるんだなぁと思って、当時非常に深く納得したことを覚えています。

意味を与える、意味を作る

もうひとつ参考になるのが、資料最後の方にあるリサーチ・戦略・デザインと問題解決の話です。

スライドからの引用
該当セクションからの引用です

ホブスさんは情報アーキテクチャが総合認知モードの中で用いられ、作用することを「デザインの裏のデザインの裏のデザイン」と呼んでいます。分析的思考では解決が難しい複雑な問題・矛盾・衝突を総合的思考で解決することをデザインの価値とする、という考え方に強く共感できます。

ここまで記事中に少しずつ「The design behind the design behind the design」の引用をさせていただきましたが、資料からジェイソン・ホブスさんに興味を持たれた方は、JH-01 をチェックしてみるといいと思います!

実はなかなか理解してはもらえないけど…

最初に述べたように、山岸のフィールドから他のメンバーにシェアすることもたくさんあります。その際には上記のような資料を共有して、Tech Share で話したりするのですが、実はそんなにストレートに理解・共感してもらえるわけではありません。

トピックによっては「???」というリアクションが返ってくることもしばしば。うまく説明できない自分がもどかしかったり、わかってもらえないなぁと切なくなることも多かったのですが、最近はあまり気にしなくなりました。

なぜかというと、じわじわとボディブローのように「ああ、あの時に山岸がこんなこと言ってたなぁ」とは「あ、これ Tech Share で聞いたことと同じだ」などと思ってもらえることも増えているみたいで、ちょっとずつだけど伝わっているんだなぁと感じるからです。これはけっこううれしいことです。

そんなふうにして、フィールドの違うメンバー同士がじわじわとお互いの持っているものを手渡し合う感じ、なかなか気に入っています。Tech Share の文化は本当におすすめですよ。

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投稿者 Yamagishi Hitomi

主にサービスデザイン案件や新規事業・スタートアップ案件を担当し、サービスデザイナー/プロセスファシリテーターとしてビジネスとデザインが密接な領域で活動。柔軟なプロセス設計を持ち味にして、チームの成果と成長に貢献しています。社内ではメンバーが健康に働ける環境の整備やひとりひとりの成長のためのしくみづくりなどを担当。おいしいコーヒーを買ってくる担当もやってます☕