Claude Desktop での MCP の設定と利用方法

はじめに

Claude Desktop は Anthropic 社が提供する Claude の公式デスクトップ版アプリです。
このアプリでは、チャットでのやり取りだけでなく、MCP（Model Context Protocol）という機能を活用することで、ウェブ検索、ファイルシステム操作、API 連携など、さまざまな拡張機能にアクセスできるようになります。

なお、MCP は Claude Desktop 専用の機能ではなく、Cursor や GitHub Copilot、その他の MCP 対応エディタでも利用可能です。本記事では Claude Desktop での設定を中心に解説しますが、MCPの概念や活用方法は他のツールでも応用できます。

Gaji-Labo では「AIフレンドリー」な開発環境の構築を重視しており、人間の創造性と AI の効率性を最適に組み合わせることを目指しています。
MCP の活用は、単に AI に作業を丸投げするためではなく、人間が本来集中すべき問題解決や設計判断により多くの時間を割くためのツールとして位置づけています。

本記事では、Claude Desktop での MCP の設定方法と、様々な MCP 機能の利用方法について解説します。

MCP (Model Context Protocol) とは？

MCP（Model Context Protocol）は、Anthropic 社が開発した新しいプロトコルで、LLM（大規模言語モデル）がさまざまな外部データソースと効率的に連携できるように設計されています。従来、AI モデルにリアルタイムの情報を提供するためには API やカスタム統合が必要でしたが、MCP を活用することで、ファイルシステム、データベース、サードパーティアプリケーション など、さまざまなリソースへ統一的な方法でアクセスが可能になります。

MCP の基本設定方法

Claude Desktop では、この MCP を通じて、以下のような機能が利用可能になります。

• Slack 連携
• GitHub 連携
• Notion 連携
• ファイル操作

準備作業

では、アプリのインストールから始めましょう。

1. Claude Desktop のインストール
   • Anthropic の公式サイトから Claude Desktop アプリケーションをダウンロードし、インストールします。
   • 既にインストール済みの場合は最新版にアップデートしてください。
2. Node.js のインストール
   • 多くの MCP サーバーは Node.js を利用します。
   • nodejs.orgから Node.js をダウンロードしてインストールしてください。
   • ターミナルで node -v コマンドを実行して、正しくインストールされているか確認します。
3. Python を使用した MCP のための準備
   • Python で書かれた MCP サーバーを使用する場合は、uvx をインストールする必要があります。
   • ターミナルで pip install uvx を実行してインストールしてください。
4. Docker を使用した MCP サーバーの準備
   • 事前に Docker Desktop をインストールしてください。
   • ターミナルで docker --version を実行して、正しくインストールされているか確認します。

MCP の設定手順

1. 設定ファイルの作成・編集
   • Claude Desktop のメニューから「設定…」を選択します。
     
   • 左側のサイドバーから「開発者」を選択し、「構成を編集」をクリックします。
   • これにより設定ファイルが作成されます。
     
2. MCP サーバーの設定追加
   • JSON ファイルに設定を記述して保存します。
3. Docker を使用した MCP サーバーの設定方法
   • Docker コンテナとして実行する場合、command に docker を指定し、args に必要なパラメータを設定します。
   • Docker を使用することで、npx や uvx で直接 MCP サーバーを実行する方法と比較して、次のようなセキュリティ上の利点があります。 安全に MCP を利用したい場合は、サービスが公式で公開しているものを Docker で使用するのがおすすめです。
     • サンドボックス化による保護
     • 認証情報の安全な管理と漏洩リスクの低減
     • 最小権限の原則に基づくアクセス制御
4. Claude Desktop の再起動
   • 設定ファイルを保存したら、Claude Desktop アプリケーションを再起動します。
   • 再起動後、入力ボックスの左下の「検索とツール」アイコンをクリックし、メニューに設定した MCP 機能が追加されていれば設定成功です。
     

Docker を使用した MCP サーバーの設定例

以下に、一部 MCP サーバーの設定例と、実際にできるようになることの例を挙げてみました。

Filesystem MCP Server

こちらを使用すると、ローカルファイルの読み書きやディレクトリ操作が可能になります。

個人的には、これまでローカルに蓄積してきた資料やメモ、コードスニペットなどの情報を、Claude との会話の中で簡単に引き出したり、新しい知見と組み合わせてまとめ直したりできるのが非常に便利だと感じています。

{
    "mcpServers": {
        "filesystem": {
            "command": "docker",
            "args": [
                "run",
                "-i",
                "--rm",
                "--mount",
                "type=bind,src=${workspaceFolder},dst=/projects/workspace",
                "mcp/filesystem",
                "/projects"
            ]
        }
    }
}

3. GitHub MCP

こちらを使用すると、GitHub リポジトリの操作やコード管理が可能になります。

GitHub が公式で MCP サーバーを提供してくれているのは、セキュリティや安定性の面で安心して利用できるため非常に助かりました。

{
    "mcpServers": {
        "github": {
            "command": "docker",
            "args": [
                "run",
                "-i",
                "--rm",
                "-e",
                "GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN",
                "ghcr.io/github/github-mcp-server"
            ],
            "env": {
                "GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": ""
            }
        }
    }
}

4. Slack MCP

チャンネル内の会話履歴を参照したり、メッセージの送信や返信をすることができます。

{
    "mcpServers": {
        "slack": {
            "command": "docker",
                "args": [
                    "run",
                    "-i",
                    "--rm",
                    "-e",
                    "SLACK_BOT_TOKEN",
                    "-e",
                    "SLACK_TEAM_ID",
                    "-e",
                    "SLACK_CHANNEL_IDS",
                    "mcp/slack"
                ],
                "env": {
                    "SLACK_BOT_TOKEN": "",
                    "SLACK_TEAM_ID": ""
                }
            }
        }
    }
}

Notion MCP Server

Notion 上で作成したノートの情報を Claude Desktop 上で呼び出したり、ノートの編集が行えます。

{
    "mcpServers": {
        "notionApi": {
            "command": "docker",
            "args": [
                "run",
                "--rm",
                "-i",
                "-e",
                "OPENAPI_MCP_HEADERS={\"Authorization\": \"Bearer ntn_****\", \"Notion-Version\": \"2022-06-28\"}",
                "notion-mcp-server"
            ]
        }
    }
}

MCP 機能の応用例

複数の MCP を組み合わせた活用法

複数の MCP を組み合わせることで、より高度な作業が可能になります。以下はそのプロンプト例です。

1. ウェブ検索とファイルシステムの組み合わせ

最新のAI倫理に関する研究を検索し、その内容をまとめたレポートをマークダウン形式でDocumentsフォルダに保存してください。

リアルタイムに情報を検索し、その結果をまとめて Filesystem MCP を使って自動的にファイルに保存できるので、検索から保存まで一連の流れを一度の指示で完了できます。

2. GitHub と Slack の連携

myusername/myproject リポジトリの今週のコミット状況を分析して、その結果を Slack の #dev-updates チャンネルに投稿してください。

GitHub MCP でコミット情報を取得・分析し、その結果を Slack MCP を使って適切なチャンネルに自動共有します。開発状況の定期報告などを効率化できます。

3. ファイル分析と GitHub の連携

ローカルのsrc/componentsフォルダ内のReactコンポーネントを分析し、コードの品質改善案をGitHubのイシューとして作成してください。

コードファイルを読み込み、Claude がコード分析を行った後、GitHub MCP を使って issue を自動作成します。

まとめ

Claude Desktop での MCP の設定と利用方法について解説しました。
GitHub、Slack、ローカルファイルアクセスなど、様々な MCP 機能を活用することで、Claude Desktop をさらに強力なツールとして、日々の業務効率化につなげることができます。

設定は少し技術的ですが、一度設定してしまえば、チャット形式で様々なサービスを介した作業を指示できるようになります。

Gaji-Labo では、このような AI ツールを単なる作業の自動化ではなく、人間が本来集中すべき問題解決のためのパートナーとして捉えています。MCP を適切に活用することで、より本質的な問題解決や技術的な挑戦に集中できる環境を作り出していきたいと考えています。

組み合わせ次第で、さらに便利に使うことができるはずです。チーム全体で AI フレンドリーな開発環境を構築し、人間と AI が協働する新しい働き方を実現するために、ぜひ積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

参考リンク

• MCP.io: User Quickstart Guide
• github-mcp-server

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