長谷川恭久さんに学ぶAI時代のものづくりについて
先日、情報設計(IA)の最前線でご活躍されている長谷川恭久(ヤスヒサ)さんをゲストにお招きした Gaji-Labo 社内座談会を開催しました。
事前に社内から集めた質問にご回答いただく形で、「 AI 時代のものづくり」や「抽象的な言葉に逃げない具体化の重要性」、そして「ツールを使いこなして『作る』を楽しむ姿勢」など、学びになるお話を沢山いただきました。
この記事では、座談会の中でも私自身の印象に残った内容をピックアップしてお伝えしていきます。
ヤスヒサさんのデザインへの向き合い方や、 AI 時代をどう乗りこなしていくかというお話を読んで、どう感じられたかの感想があれば SNS などに投稿いただけたらうれしいです。

AIがサポートするものづくり

座談会の中で、メンバーから多く寄せられたのが AI の使い方に関する質問でした。
「 AI を効果的に使用しているデザイナーが、どのように使っているかの具体例はありますか?」
この質問への回答を皮切りに、ヤスヒサさんには AI を活用したチームメンバーや顧客へのアプローチの仕方など、具体的な対応方法をお話しいただきました。
ヤスヒサさんが紹介してくださった事例は、次のような内容です。
- デザインの実装検討ができる、動くプロトタイプを生成
- 顧客のニーズを顧客自身で資料に落とし込める、順序立ったヒアリングの代行
どちらも AI に「自身ではできないことをサポート」する役割を与えています。
紹介いただく中で、昔、デザイナーはブラウザ上でデザインせよという論調があったこと、 AI の登場によってコードを間接的に触って検証したり、モックアップをエンジニアに共有する動きが取りやすい状況だ、という話がありました。
この話を聞いて、レスポンシブデザインが登場した頃を思い出しました。
当時は自身でコードを書いたり、自分以外のデザインの実装も行っていました。おかげで当時は実装知識に苦労しませんでしたが、コーディングから離れたことで、理解が遠のいてしまったように思います。以前書いた記事の、Figma と実装のコンポーネントの違いもその1つです。
以前よりデザイナーがコーディングを行うハードルが上がっている今、AI に間を取り持ってもらい、実装の感触を確かめることができるのはデザイナー、エンジニア双方にとってメリットだと感じます。
「意味を設計する」とは「何をやる人」なのか

昨今、AI の台頭によって「ビジュアルを作るだけがデザイナーの仕事ではない」という論調が強まっています。その中で目にするようになったのが、「意味を設計する」という表現です。座談会では、この言葉について、ヤスヒサさんの見解を伺う質問も飛び出しました。
ヤスヒサさんは、次のように回答をしていました。
「『意味を設計するデザイナー』と言われても、結局『で、何をやる人なの?』という問いに明確に答えられているものを見かけない。言いたいことはわかるけれど、具体的なアクションが聞き手に委ねられてしまう言葉は、現場に混乱を引き起こす恐れがある」
ヤスヒサさん自身も、その「答え」をまだ模索している最中だと言います。だからこそ、今回の座談会でも抽象的な概念を伝えるのではなく、実例を見せながら「具体」を提示することにこだわっていた、というお話が非常に印象的でした。
確かに前述の AI 活用事例の紹介時、成果物のアニメーションのモックに加え、
Claude Codeでの指示の仕方や、準備した内容まで画面共有をしながらお話ししていただいていました。
抽象的な表現は、大まかな認識を共有する上で有用な反面、「わかったつもり」にさせてくれる便利な逃げ道でもあります。私自身、何かを話し合う際にふわっとした言葉を使い、「何をどうするのか」という具体的な方法を考え抜けないまま終わらせてしまうこともあります。
これからは具体的な目的や、行動に落とすために必要なことを立ち止まって考えてみる必要がありそうです。
余談ですが座談会の中では、「解釈の幅がある状態は、逆に「意味」を欠いた状態になるのではないか」「あえて幅を持たせることで可能性を潰さない意図もあるのでは」という会話が、文法的な意味合いでの「意味」の話や、日本語と英語の意味の乗せ方の差まで展開しました。参加者の言葉への意識を感じる一面でした。
学び方とロールモデルについて

座談会の終盤、「情報設計を学ぶためのおすすめのアプローチや書籍」を尋ねる質問に対し印象的だったのは「何のために情報設計を学びたいの?」という、目的への問い直しです。
自分がなりたい姿によって、必要な書籍もアプローチも変わってくる。
網羅的に知識を取り入れたいのか、それとも概念的な理解を深めたいのか。
まずは自分が理解しやすい学習スタイルを選ぶことが大切だということを伺えました。
つい「これを読んでおけば正解」「みんなが読んでいる」本を探してしまいがちなので、自分が理解しやすい方法に合わせて選んで良いという意見は、目から鱗でした。
加えて、なりたい自分をベースに考えると、本来必要なのは情報設計の本ではないかもしれない、というのも大事な示唆だと感じます。
「なりたい自分」というキーワードから、それがない場合はどうすればいい?という話につながりました。ヤスヒサさんは「『結局自分は何がしたいのか?』という、問いを AI に投げかけ、言語化していくのも良いのでは」と話していました。
私もなりたい姿と聞かれるとぱっと答えられません。自分との対話は苦しく、一人で向き合うのは難しいものです。しかし、 AI を使えば問い始めてみることはできそうです。なりたい姿がふわっとしていると感じる時こそ、「自分」を掘り下げてみる機会なのかもしれません。
最後に
今回の座談会を経て一番心に残ったのは、「今は思いつきを形にできる、やりたい放題で楽しい」というヤスヒサさんの言葉とその姿勢です。
自分が欲しいと思ったツールを、 AI の力を借りてさっと作ってしまう。
その軽やかさは今の自分に欠けているものです。自発的な「楽しい」は一番の原動力だと思うので、その言葉がスッと出てくる姿勢を眩しく感じました。
以前はやってみたい!という気持ちだけで、時間を忘れて手を動かしていました。
昔と比べて、今は格段に形にするための障壁が低くなっているはずです。それなのに、どうして及び腰になってしまっていたんだろう。
一因としてAIに対する異物感を自分の中で咀嚼できていない点はありそうですが、それは少しずつでも試して理解を進めないと払拭できません。
AI を含め、触れていない技術はまだたくさんあります。それを異物として捉えるのではなく、自分の思いつきを形にするために使ってみたい。小さなところから、ものづくりの楽しさを掴み直していきたいと思います。
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