チームの「表情」を観察する。アクセシビリティの推進で見落としたくない違和感の拾い方
こんにちは、Gaji-Labo 横田です。アクセシビリティを推進していくには、理想と現状を言葉にすることの積み重ねがチームの「土壌」になります。
今回は、その土壌を育てていくために、日々のコミュニケーションで意識していることを書こうと思います。それは、会議やテキストコミュニケーションの中で、小さな違和感を逃さない「観察」と、そこから生まれる「対話」のプロセスです。
チームと個人の状態を観察し続ける
Slack での反応の速さや内容、定例での表情、発言のトーン。そういった小さなサインから、チームや個人の「状態」を読み取るようにしています。コードレビューの場においても、技術的な指摘だけでなく、相手の理解度や関心の高まりの「状態」をコメントから観察します。
メンバーの状態はプロジェクトの進行に合わせて変化していくので、最初は「よくわからないもの」だったアクセシビリティが、少しずつ「取り組むべきもの」として認識されるようになっていったりする。その変化を感じ取れるかどうかで、次の提案の仕方も変わるし、状況によって軌道修正も必要になります。
また、全体で会話する場だけでなく、一対一で話す機会も意識的に作ります。
個の状態がわかっていないと、どんなに正しい提案も適切に届かないことがあるからです。「今このタイミングで言っても響かないな」とか「別のアプローチのほうがいいかも」といった判断は、こうした小さな日々の観察から生まれると感じています。
言葉にならない「もやもや」を置いたままにしない
そうした観察の中で、小さな「もやもや」ポイントを見つけることがあります。なんとなく気になること、うまく言葉にできない違和感。この「もやもや」を丁寧に拾い上げることが重要だと感じています。
例えば、機能開発フローの中に、今までなかったアクセシビリティ観点でのレビュー工程を導入しようとしたケースを想定してみましょう。
これまでは PM が企画を立案し、ステークホルダーとの調整も済ませ構成まで FIX させてからデザイナーやエンジニアに手渡していました。そこに、企画 FIX する前の段階で、デザイナーやエンジニアにアクセシビリティ観点でのフィードバックを入れる仕組みを提案します。職能を横断し、全工程でシームレスにアクセシビリティに取り組むチームになるのが目的です。
ここで、PM からこんな反応が。
「PM 間では互いの企画にフィードバックし合ってから企画を FIX させている。FIX 前にデザイナーやエンジニアのフィードバックを入れるのは良い試みなのだが、PM レイヤーだけで企画内容をFIXできないということになるのかな」
一方、デザイナーやエンジニアからも、
「FIXする前にレビューに入ってよいのなら取り組みたいし、アクセシビリティ観点のチェックをデザイナーやエンジニアに任せてくれてよいが、継続的に行うとなるとリソースが厳しいかもしれない」。
双方から、言葉の額面通りではない「もやもや」がにじんでいるように感じます。
違和感を「観察」し、対話のテーブルに乗せる
こうした小さな違和感に気づいたとき、スルーせずに「少し会話しませんか?」と声をかけます。
誰かが少しだけ表情を曇らせたり、発言を控えたりした時、そこには必ず「見えている景色の違い」があるからです。
先ほどの例であれば、関係者で再度集まる機会を作り、次のような問いを投げかけてみます。
- 「企画のFIX」とは、具体的にどの状態を指すのか整理しませんか?
- デザイナーやエンジニアが企画に介入するタイミングの理想像を話しませんか?現実とのギャップをどう埋めるか、その理想にどう近づけるか、落としどころを探りましょう
良い・悪いのジャッジをするのではなく、引っかかった箇所をそのままテーブルの上に乗せて、全員で眺めてみる。目線合わせをする。そんな感覚で対話を始めます。
深掘りで見つかる「遠慮」や「気負い」
こうして対話を深めていくと、本音が見えてきます。
例えば、非同期でのコミュニケーションが中心のため、「企画途中でフィードバックをもらうなら、完璧なアウトプットを出さなければ」とPMが気負いすぎていたり。
別職種の視点を入れると、得たい成果や数値の認識の違いからスピード感が出ないのでは、という懸念があったり。
PM から見れば、企画 FIX 後にも UI を選定し直す余地を残しているつもりだが、デザイナーやエンジニアから見れば、FIX 後にはその余地が残っていないと感じていたり。
お互いに相手の職能を越境しないよう、無意識に遠慮が生じていたり。
このような、「なんかうまくいってない気がする?」という感覚は、放置すると後で大きな問題になることが多いです。視点や立場が違うからこそ生じた「もやもや」を早いタイミングでチームに共有して、要因を一緒に探り、解決方法を考える。
個々が納得できる落としどころを見つけていくプロセス自体が、チームの学びになると感じています。
提案には「次の一手」と「ボール持ち」をセットで
そして対話で終わらせず、ネクストアクションまで決めることが、定着させるためのステップです。
先の例で言えば、
- 「職能間で気軽にやりとりをできる同期的な時間を15分作る」
- 「企画フィードバックを依頼する時は期限を明示する」
というような感じで具体的な一歩を決めます。
こうして一歩一歩「言いっぱなし」にしないで重ねていくアクションが、アクセシビリティを「チームで取り組むもの」へ変えていくのだと感じています。
アクセシビリティ推進の話、もう少し続きます。
アクセシビリティを推進するとき、理想と現状を言葉にすることの積み重ねがチームの「土壌」になる話を書いた記事も、合わせてご覧ください。
また、Gaji-Laboが支援させていただいたジョブメドレーのアクセシビリティ向上の取り組みと、「プロジェクトをやりきる」文化を読んでいただけると、よりリアルにプロジェクトの現場感がわかると思います。こちらもお読みいただけたらうれしいです。
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