全部の案を並べるのが丁寧だと思っていたけど、かえって相手を迷わせていたかもしれない話
こんにちは、Gaji-Labo フロントエンドエンジニアの金城です。
相手に何かを提案するとき、複数の案を用意することがあります。
複数案のメリット・デメリットも整理し、丁寧に進めているつもりでした。
でも最近、その丁寧に出す複数案がかえって相手を迷わせていたかもしれない、と気づいた出来事がありました。
並べた瞬間に、「選ぶ」作業が必要になる
先日、あるサイトの記事カテゴリ一覧のパスをどうするか確認しようとしたときのことです。
使っている CMS の標準的な作りに乗ると /news/category/カテゴリ名/ の形になり、実装コストも低く、今回の用途でも困りません。/news?category=カテゴリ名 のようなクエリパラメータの形も、少し手を加えれば問題なく対応可能です。
本命は標準の形でほぼ決まっていたのに、別の形でできないか聞かれたときのためにと、クエリパラメータ案も並べて「どちらがいいですか」と確認しようとしていました。でもふと、これを並べたら相手はどちらかを「選ぶ」という作業が必要になる、と気がつきました。
少し迷った末、本命の案ひとつを出してシンプルに「この形でよいですか」と相談しました。結果は、普通に通りました。相手にとって、そこはそもそもこだわりのある場所ではなかったのだと思います。
自分のための比較と、相手に見せる比較は違う
メリット・デメリットを表にしたり、比較表を作ったりするのは、今も大事だと思っています。並べてみると自分の考えが整理できるし、抜けていた観点にも気づけます。選択肢が多いときは、たたき台の比較表を用意して考えを進めることもあります。
でも、これはあくまで自分が考えるための比較です。同じ表をそのまま相手に見せると、載っているものが全部、検討すべきことに見える。わざわざ一緒に悩まなくていいことまで、並んでいるだけで相手の宿題になってしまう。自分のために広げる比較と、相手に渡す比較は、載せる範囲を変えたほうがいい。そう反省しました。
絞ることと、都合よく見せることは違う
ここで気をつけたいのは、絞るというのが、都合のいいところだけ見せることにも、相手の代わりに勝手に決めることにもなりうる、ということです。線を引くのは難しい。
自分なりに考えてみた基準としては以下の通りです。
- 実在するトレードオフや、相手が選びたいはずのことは、自分が気にならなくても残す
- これは論点じゃない、と言い切れないものは、勝手に候補から落とさず、軽くでも聞いてみる
- 推す案には理由を添えて、他に考えがあれば教えてほしい、と開いておく
- 候補から落とした案も、聞かれたら「こういう理由で今回は選ばなかった」と正直に言えるようにしておく
今のところは、これらができていれば隠すのではなく絞っているだけと言えそうかも、と思っています。
全部見せたくなるのは、たぶん決めたくないから
考えていて、ひとつ思い当たったことがあります。全部の案を並べて見せたくなるのは、丁寧さのためだけではなくて、自分が決めきることから逃げようとしていたのかもしれない、ということです。全部見せて選んでもらえれば、決めたのは相手、という形になります。本命ひとつを理由とともに出すのは、その判断を自分で引き受けることでもあります。
おわりに
複数の案を並べること自体が、悪いわけではないと思っています。デザインの検討など、案を広げて可能性を探る発散のタイミングでは、たくさん出すこと自体が議論を前に進めます。
ただ、発散の必要がないタイミングで理由もなく複数案を提案するのは、丁寧なつもりでも意思決定を相手に押し付けているだけになってしまうことがある。今回気づいたのは、そこでした。
これからも複数の案を出すことはあると思います。
でも、これからは「相手に決めてもらう」ために並べるのではなく、相手が選ぶことで意思決定の質が高まる、というシーンでのみ複数案にしたい。
一案でも複数案でも、そこまで含めて自分の判断として出せるようにしていきたいなと感じた出来事でした。
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