MUI v4 から v5 の移行に役立つツール codemods


こんにちは、 Gaji-Labo アシスタントエンジニアの石垣です。

今回は、 React + MUI のプロジェクトで、 MUI のバージョンを4から5へアップグレードする時に使える移行支援ツール(codemods)をご紹介します。

codemods について

MUI のバージョン5は2021年9月に正式リリースされましたが、その際に多くの破壊的な変更が行われました。詳しくは弊社ブログで以前書いた記事もご覧ください。

そのため、アップグレードには import の置き換えや props の変更など、コンポーネントのコードを書き換える必要があります。しかし、この作業を1つ1つ行うのはコストがかかります。

そこでそういった作業の手間を軽減するために、公式の移行ツール( codemods と呼ばれています)が用意されています。これは、 v5 用にコードを自動的に最適化するもので、少ない労力で移行することができます。

多くの codemod がありますが(全ての codemods のリストは https://github.com/mui/material-ui/blob/master/packages/mui-codemod/README.md に記載されています)、 v4から v5 への移行では、preset-safe という codemod を使うことでほとんどの移行作業に対応が可能です。

preset-safe を使う

preset-safe はいくつかの codemod をバンドルしたものです。含まれる codemods は公式リストに記載されています。

https://github.com/mui/material-ui/blob/master/packages/mui-codemod/README.md#-preset-safe

以下のように使用します。

$ npx @mui/codemod v5.0.0/preset-safe <path|folder>

この codemods は、 import や deprecated な props など、 v5 への移行に必要なほとんど書き換えを自動的に適用してくれます。

preset-safe に含まれない v5 への移行用 codemods

上記の preset-safe には含まれていない codemods もいくつかあるため紹介します。

component-rename-prop

コンポーネントの props をリネームするための codemod です。

npx @mui/codemod v5.0.0/component-rename-prop <path> -- --component=Grid --from=prop --to=newProp

date-pickers-moved-to-x

Date Picker コンポーネントのインポートを @mui/lab から @mui/x-date-pickers @mui/x-date-pickers-pro に置き換える codemod です。

npx @mui/codemod v5.0.0/date-pickers-moved-to-x <path>

jss-to-styled

makeStyles と withStyles で記述された JSS を styled API で置き換える codemod です。

以前の記事でもご紹介しましたが、 v5 では makeStyles と withStyles は非推奨となり、代わりに styled API が使われるようになりました。

preset-safe に含まれない codemod の中で最も使用頻度の高いものだと思います

npx @mui/codemod v5.0.0/jss-to-styled <path>

jss-to-tss-react

makeStyles と withStyles で記述された JSS を tss-react API で置き換える codemod です。

TSS は MUI と統合された TypeScript のスタイル記法で、 makeStyles や withStyles の記法をそのまま扱えるため、同じ記法を使い続けたい場合にお勧めの選択肢です。

npx @mui/codemod v5.0.0/jss-to-tss-react <path>

link-underline-hover

Linkコンポーネントに underline="hover" を追加します。
v5 のデフォルトの underline prop は always(常に表示)なので、 v4 と同じ表示にしたい場合はこちらを適用します。

npx @mui/codemod v5.0.0/link-underline-hover <path>

optimal-imports

import を以下のように変更します。

-import red from '@material-ui/core/colors/red';
-import createTheme from '@material-ui/core/styles/createTheme';
+import { red } from '@material-ui/core/colors';
+import { createTheme } from '@material-ui/core/styles';
npx @mui/codemod v5.0.0/optimal-imports <path>

top-level-imports

サブモジュールから import されるコンポーネントを、ルートから import するように変更します。

-import List from '@mui/material/List';
-import Grid from '@mui/material/Grid';
+import { List, Grid } from '@mui/material';
npx @mui/codemod v5.0.0/top-level-imports <path>

variant-prop

TextField, Select, FormControl コンポーネントに、variant prop が渡されていない場合に variant="standard" を追加します。こちらも v4 と同じ見た目にする際に必要な codemod です。

npx @mui/codemod v5.0.0/variant-prop <path>

おわりに

今回は、 React + MUI のプロジェクトで、MUI のバージョンを4から5へアップグレードする時に使える移行支援ツール(codemods)をご紹介しました。

最終的な移行作業は一つ一つの確認が必要ですが、今回ご紹介したようなツールをうまく活用することで作業コストを削減していきたいですね。

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投稿者 Ishigaki Shotaro

アシスタントエンジニアとしてHTML/CSS/JavaScriptの実装やRailsの組み込み、スタイルガイドの構築などを担当しています。 業務の中でさまざまな学びを吸収しながら、文書構造やアクセシビリティに目を向けたマークアップの学習やJavaScriptの学習などを行っています。チームに貢献できるエンジニアとなるために日々奮闘中です。