アクセシビリティを推進するときに大切にしていること
こんにちは、Gaji-Labo 横田です。
アクセシビリティの推進は、デザイナーやエンジニアがガイドラインを理解し、それぞれの職能で技術的に正しいことをやっていけばOK……というわけにはいかないのが体感としてあります。
例えば、Gaji-Laboが支援させていただいたジョブメドレーのアクセシビリティ向上の取り組みと、「プロジェクトをやりきる」文化を読んでいただけると、一筋縄ではいかないことがイメージいただけるかなと思います。
大切なのは、アクセシビリティに多くの関心や知見を持っていなくても自然とアクセシブルになるような「仕組み作り」と、チームとして職能を横断しアクセシビリティに取り組める「プロセスや文化の土壌作り」。
仕組み作りもプロセス作りも文化の土壌作りも、まずはチーム、人と日々向き合いながら、少しずつ前に進めていく。地道ですが、そこがスタートラインだと考えています。そんな風にアクセシビリティを推進していく上で、自分が大切にしていることについて書こうと思います。
「どこを目指すか」を言葉にする
「既存サービスをアクセシビリティ対応したい」「WCAG の試験を通したい」「アクセシビリティ対応を内製化したい」——こうしたご相談をいただくことがあります。
でも、「アクセシビリティ対応」とひとことで言っても、ゴールの捉え方は企業ごとプロジェクトごとに違います。チームや担当者によっても思いはさまざま。ここを曖昧にしたまま走り出すと、プロジェクトの途中で「これって何のためにやってるんだっけ?」「今、ビジネスやプロダクトにとって大事なことってなんだっけ?」「他のチームにどうやって説明すればいいんだっけ?」と迷子になりがちです。
だからこそ、関係者と一緒に、最初の段階で背景にある目的やゴールを一緒に探るようにしています。
例えば、こんな観点から問いかけていきます。
- WCAG の項目やレベルに準拠したい?それとも、プロダクトに適した解決策を選択できればよい?
- 広報的なアプローチもあり試験に通したい?それとも、多様なニーズを持つユーザーが滞りなく使えるようになれば試験は不要?
- 既存のユーザーに対して特定の配慮を追加できればよい?それとも、多様なユーザーのニーズを知って、プロダクトの機能を作り直したい?
- アクセシビリティ専任のチームを組成したい?それとも、関係者全員で取り組めるようにしたい?
- アクセシビリティの観点が常に優先されるプロセスが理想?それとも、他の観点とバランスをとりながら柔軟に判断できるプロセスが理想?
さらに踏み込んで、
- プロダクトが保ちたい品質のレベル感
- ビジネス目標と品質維持の関係性
- 各ロールの責務
- チームビルディング
についても言語化と共有にしっかりと時間をかけます。
こうやって理想の状態をさまざまな角度から言語化しておくと、後々の判断軸がぶれにくくなります。
走り出してからも定期的に確認したり、アジェンダとして取り上げて、関係者の目線をそろえていく。この繰り返しが大切です。
「今どこにいるか」も言葉にする
理想の状態が言語化できると、現状の整理もぐっとしやすくなります。
現状は常に変化するものなので、最初にヒアリングをベースに、日々「観察」し続けるのですが、例えばこんな声が出てくることがあります。
- アクセシビリティの重要性は理解しているつもり。でもチームやメンバー間での共通認識にはなっていない
- 理解度も関心もバラバラで、温度差が大きい
- アクセシビリティって「特定のユーザーのための特別な制約」という印象があって、積極的には取り組みづらい
- 職能間で視座が違って議論が膠着しがち。折衷案を出したくても、アクセシビリティ観点の引き出しが少なくて、落としどころが見つからない
こうして現状も言語化してチームの中で共有していくと、理想とのギャップがくっきり見えてきます。
そのギャップをどう埋めていくか。突き詰めて考えていくことで「アクセシビリティ推進、じゃあ何から始めようか」が具体的になっていきます。

小さく始めて、積み上げる
ヒアリングした理想と現状のギャップが大きいと、どこから手をつければいいかわからなくなります。やりたいことや課題が山積みの状態で一気に全部やろうとすると、チームが疲弊してしまう。
だからこそ、小さく始められることから提案するようにしています。
「プロダクトを横断したアクセシビリティ対応デザインシステムを作りたい」という相談に対しては「まずはコンポーネント集に留めておきませんか」と提案したり、「WCAGの勉強会を実施したい」という要望に対しては「知識のインプットの前に実践と体験を積み重ねましょう」と優先順位を整理したり。
「アクセシビリティよく分からないチーム/人にどうやって説明しよう」という問いに対しては「自分ごととして考えられるきっかけとなるようなワークをしましょう」と壁打ち相手になったり。
アクセシビリティに取り組む文化の醸成は、仕組みだけでなく人にもフォーカスするので、理想から逆算した計画を立てづらいところがあります。
でも、こうした小さなステップを積み上げていくことで、チームに「アクセシビリティ対応は品質維持のひとつ」という感覚が少しずつ根付いていき、現状が変わっていきます。
大きなゴールを目指すために、小さな体験を重ねて、検証して、軌道修正していく。このやり方が、長いプロジェクトを走り切る力になると思っています。
冒頭でもご紹介したメドレー社のアクセシビリティ推進プロジェクトの例も参考に、お読みいただけるとうれしいです。
長くなってきたので続きはまた次回。
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