4年分の RubyKaigi デザインから見えたコミュニティを支えるデザイン【RubyKaigi Designers 開催レポート】


2026年8月3日、note place で「RubyKaigi Designers – 国際カンファレンスに“いろどり”を加えるデザインたち」を開催しました!

https://gaji-lt.connpass.com/event/398782/

今回集まったのは RubyKaigi 2023〜2026 のデザインに関わったデザイナーのみなさんです。
歴代デザイナーのみなさんに完成したビジュアルだけでは見えない制作の裏側や、カンファレンスをデザインで支える奥深さについてお聞きしました。
当日は、デザイナーだけでなくエンジニアやカンファレンス運営に関わる方など、約90名に参加いただきました。

なぜ「RubyKaigi Designers」をひらいたのか

RubyKaigi は日本発祥のプログラミング言語 Ruby に関する国際カンファレンスです。毎年異なる開催地に合わせて、Web サイトや会場装飾、広告、ノベルティなど、たくさんのデザインがつくられています。
それらはカンファレンスの情報や魅力を分かりやすく伝えるためのものでもあり、参加する人の期待を高め、開催地やコミュニティとの接点をつくるものでもあります。

今回のイベントは「RubyKaigi に関わったデザイナーのみなさんにもっとスポットライトを当てたい」「技術カンファレンスとデザインが交わる面白さを広め、コミュニティに関わるデザイナーを増やしたい」という思いから始まりました。

歴代デザイナーが何を考え、どんなふうに手を動かしてきたのか。その制作の裏側を知ってもらうことで、RubyKaigi を支えるデザインの魅力を少しでも多くの方に届けたいと考えました。

4人のデザイナーに制作の裏側を聞きました

最初のパートではそれぞれの年の制作を振り返りました。
開催地の文化をどう読み取り、形にしていったのか。たくさんのお話の中から一部エピソードをご紹介します。

RubyKaigi 2023

2023年を担当した attsumi さんは、開催中止となった RubyKaigi 2020 のデザインも担当していました。3年越しの開催では当時の案をそのまま使うのではなく、ノベルティも含めて「今なにをつくるか」から考え直したそうです。

特に心に残ったのが「RubyKaigi のデザインはすごく楽しい」という言葉でした。
熱量の高いイベントをデザインでさらに彩れること、オーガナイザーチームのみんなと一緒につくれること、そして Rubyist のみなさんに楽しんでもらえること。その喜びがまっすぐ伝わってくるお話でした。

また RubyKaigi だけでなく、地域 Ruby 会議や Rails Girls などデザイナーがコミュニティに参加できる機会はまだまだあるとのことで、興味をもってくれたデザイナーがいれば、一緒にできたら嬉しいとお話していました。

RubyKaigi 2024

メインカラーの黄色が印象的な2024年のキービジュアル。沖縄の民族衣装である琉装に用いられており、晴れの日に使われる縁起のよい色から選ばれました。

現地のオーガナイザーにも確認してもらいながら、現地の人に受け入れてもらい「なんか面白そうなイベントをやっているな」とポジティブな印象を持ってもらえることを大事にしたそうです。

沖縄の要素を見た目の装飾として使うだけではなく、その背景や意味まで理解してデザインに取り込む姿勢が印象に残りました。

RubyKaigi 2025

愛媛県松山市で開催された RubyKaigi 2025 では、道後温泉から着想を得た「暖簾」がキービジュアルのモチーフになりました。

暖簾をくぐった先に新しい出会いや学びが待っている。そんな期待を込めたデザインは Web サイトだけでなく、会場入口の大きな暖簾にも広がりました。

初めてのカンファレンスデザインで大変なこともたくさんあったという kim さん。
attsumi さんをはじめ、歴代のデザイナーが積み重ねてきた知見があったからこそ最後までやり切ることができたと振り返り、関係者のみなさんへの感謝を伝えていました。

RubyKaigi 2026

函館といえば夜景。そんなイメージを持っていた松田さんが函館での視察で現地を歩いて惹かれたのは、洋風建築や赤レンガの街並みでした。

そこからローカルオーガナイザーの方とも相談を重ねながら完成したシンボルは、中央の余白が Ruby の形になっています。これには、最初は気づかず説明を聞いて「なるほど!」となる方も多かったとか。

もうひとつ人気を集めたのが遊び心から生まれたイカのアイコンです。気づけばスタンプラリーの台紙やピンバッジなど、いろいろな場所へ広がっていました。じっくり考え抜いたシンボルと、会話の中から育ったイカ。この両方が並んでいる感じもなんだか RubyKaigi らしく思えました。

RubyKaigi のデザインに関わって起きた変化


パネルディスカッションで扱ったテーマのひとつが「RubyKaigi Design Effect」です。


RubyKaigi への参加をきっかけに、次は自分もプロポーザルを出したくなって登壇を実現したり、人とのつながりから転職が決まったりする。そんなイベント後の変化を「KaigiEffect」と呼ぶそうです。

デザインを担当した4人にはどんな変化があったのでしょうか。

attsumi さんにとって大きかったのは人とのつながりが増えたこと。RubyKaigi 2023 のデザイナーを経験後、RubyKaigi の運営に入り、歴代デザイナーやオーガナイザーと活動する機会が生まれました。

mmito さんは、普段の業務では関わりきれなかった社内のエンジニアと交流できたことを挙げました。
また、RubyKaigi 2024 の最終日に壇上に上がり多くの参加者を目の前にしたことで、プロポーザルを出し、選ばれ、その場で登壇するエンジニアのすごさも身をもって感じたそうです。

kim さんは、RubyKaigi をきっかけに仕事の幅が大きく広がりました。それまでは Web バナーやイラストが中心でしたが、その後はイベントの会場デザインやグッズのデザイン設計も任されるようになり、キャリアの方向にも変化があったといいます。

松田さんにとって大きかったのは参加者の反応をその場で受け取れたこと。普段はサービスやアプリケーションの UI デザインが中心だからこそ、会場やブースなどリアルな場でその反応に触れられたことが貴重な体験になったそうです。


RubyKaigi のデザインを通して、その後にもさまざまな変化が生まれていることがわかるテーマでした。


最後に attsumi さんから、RubyKaigi のデザインに興味を持ってくれた人へ向けて「のびのびといいものを作ってほしい」という言葉がありました。

歴代のデザインを見て気負ってしまう人もいるかもしれません。でも過去と比べすぎず、のびのびといいものを作ってもらえたらうれしい。attsumi さん自身も、そういった立ち位置で運営側からデザイナーをサポートしていきたい。そんな attsumi さんの言葉がとてもあたたかく残りました。

毎年変わりながら RubyKaigi らしさをつないでいく

各年のデザインは大きく異なりますが、並べて見るとどれも RubyKaigi らしいと感じます。

その年の開催地やチームから生まれるものをデザインに落とし込んでいく。そして、デザインに関わるデザイナー自身がコミュニティとともに RubyKaigi を楽しみ、その熱量を RubyKaigi のデザインを通して届ける。

そういったプロセスが RubyKaigi らしさを形づくっているように見えました。


なお、本イベントでは4社による企業共催でしたが、企業としてデザインを担ったのは 2025, 2026 だけで 2023, 2024 やそれ以前の RubyKaigi のデザインは個人の有志の方たちが担当されているそうです。個人・企業に関わらず、オーガナイザーと協力して実現可能な形で毎年デザインが実現されていますので、この記事を読んで興味を持ったデザイナーさんには是非 RubyKaigi を体験してみてもらいたいなと思いました。

懇親会でもデザインの話は続きます

パネルディスカッションのあとは、ドリンクスポンサーの Leaner Technologies さんにご提供いただいたドリンクとともに懇親会へ。

登壇者に制作プロセスの背景や思いを聞く人、過去に参加した RubyKaigi の思い出を共有する人、イベントやカンファレンスでのデザインの取り組みなど、さまざまな会話で盛り上がりました。

RubyKaigi をもとにエンジニアとデザイナーが集まり、視点は違えども同じものを一緒に楽しむ、という RubyKaigi の新たな魅力が生まれたようにも感じます。

懇親会スペースには各年のノベルティも展示されました。「これ、かっこいいよね」「こんなものもあったんだ!」と実際に手に取りながら、参加者同士で話せるのも楽しい時間でした。

他にも「あ〜!これあったね!」「なつかしいなぁ」という声も聞こえてきました。当時の思い出を振り返るアイテムとして、毎年工夫を凝らしているノベルティが正しく機能している様子が見れました。

今回、4年間の RubyKaigi デザインを振り返ることで、デザイナーがコミュニティに関わることの面白さは「その場にある文化や人々の熱量を受け取り、デザインを通して次の体験へつないでいくこと」にあるのだと感じました。


自分の専門性を持ち寄りながらコミュニティの一員として一緒に場をつくり、その反応をすぐそばで感じられることは、技術カンファレンスに関わるデザイナーならではの醍醐味なのかもしれません。

ご登壇・ご参加ありがとうございました

「RubyKaigi Designers」にご登壇いただいたみなさん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!

そして、会場をご提供いただいた note 株式会社のみなさん、ドリンクスポンサーとしてご協力いただいた株式会社 Leaner Technologies のみなさんにも、あらためてお礼申し上げます。


今回のイベントがカンファレンスのデザインに関わっている方にも、これからコミュニティへ関わってみたい方にも、何かひとつ持ち帰れる時間になっていたらうれしいです。


Gaji-Labo では今後もデザインとエンジニアリング、プロダクト開発やコミュニティが交わるテーマについてイベントや情報発信を続けていきます。

Gaji-LaboのX(Twitter)アカウントをフォローするか、connpassのメンバーになると次回のイベント情報もキャッチできると思います。

それでは、また次の会場でお会いしましょう!

登壇者紹介

各年のデザインに込めた考えや制作の背景については、登壇者のみなさんが公開している記事や投稿でも紹介されています。ぜひあわせてご覧ください。

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投稿者 Gaji-Labo Staff

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